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  vol.8

 ズニといえば、インディアンジュエリーやフェティッシュなどア−トの面でかなり高く評価されている部族の中の1つです。・・・が今回はア−トから少し離れ、私達が買い付けでズニの村を訪れたときの村の様子などをお話したいと思います。
 私達がズニの村を訪れる日は、なぜか決まって穏やかなポカポカ陽気の日になります。そのせいか“ズニ”と聞くと私の頭の中はいつも暖色系のカラ−が浮かび上がってきます。
 ズニの村に入るとき、真っ先に目にするのはホピの村と同様にメモや撮影等の記録することを禁ずるという看板です。ですから、今回は写真を載せることができませんので、ズニの村の風景等は資料の写真や、私の頭の中にある記憶をたどった「絵」のみですすめていきます。
 ズニの村に向け車を進めていくと、道路の両サイドに家々が建ち並んでいるのが見えてきます。アド−ビ−造りの家や今風の一般住宅などの集落です。定住性を伺わせるように、ほとんどの家の前には土でできたパン焼きガマがあります。さらに車を先に進めていくと、学校やズニア−トを扱うお店、小さなガソリンスタンド兼食料品店、郵便局などがみえてきて、車の往来が活発になり、村内を行き交う人々もたくさんみかけます。ホピの村では、村内を歩く人々をなかなか見かけないだけに、ホピの村を「閑静」という言葉で表現するとズニの村は、「活気」という言葉が合うのでは・・・と思います。
 ここで、私達がズニの村に来るたびに必ず立ち寄るお店があるので紹介します。「ル−ト53カフェ」という多分ズニの村唯一のカフェなのではないかと思います。ですから、お昼時ともなるとすっごく混雑しています。
 今回はお昼ほんの少し前でしたが、ほとんどのテ−ブルがうまっていて2テ−ブル空席があり運良く席に着くことができました。しかも、残りの1席は予約席!!間一髪でした。
 私は、ここのインディアンタコ(フライブレッドの上にレタス、ひき肉、豆を煮たもの、チ−ズ、トマト等がのっかったもの)のとりこで、毎回来るたびに同じモノを注文していました、が、今回はおもいきって冒険してみようと別なものを注文しました。「Taquitos」というもので、一体どんなものやら見当もつきません。ワクワクドキドキで待っているとウェイトレスのおばさんが、料理より先にコ−ンのチップとサルサソ−スを持ってきてくれました。これは、注文すると1テ−ブルにつき1皿のチップとディップがついてきます。そして、このサルサがたまらなくうまい。ジュ−シ−なトマトの味、程良い辛み、そしてなにやらネギっぽいものも入っていてとにかくうまい!!!皿の中のチップがどんどんなくなるなくなる、注文した料理の分のお腹をあけておけといわれたが、やめられないうまさ!!!
 次に待ちに待った、Taquitosが来ました。見た目は、細めの春巻きのような感じで一皿に3本、それに豆を煮たものや野菜、味付きのライスが付いてきました。真っ先にメインの春巻きに似たTaquitosを食べてみました。これが、またうまい!まさに春巻きのように油で揚げてあり、外側の皮はパリパリで、中にはプリプリのチキンが入っている。皮とチキンのそれぞれの味がいかされていて、特に手の込んだ味ではないのに、日本では絶対巡り会えない味で大変な美味でした。
 料理を食べ終わり気が付くと、店の入り口には席を待って立っている人が数人いました。店内は全体で7テ−ブルあって、そんなに広くはありません。しかし、客の回転率がすさまじく、出たかと思うと直ぐに新しい客が入ってくる、プラス電話の注文のベルもひっきりなしに鳴っています。2人のウェイトレスのおばさんは休む間もなくお尻をプルプリさせながら店内を行ったり来たりしています。また、周りを見渡すと、なぜか白人が多いことに気付きました。白人同士の会話を盗み聞きしてみると、どうやらなにかのツア−できているようです。待っている人もいるので、早々にカフェを後にしました。
 腹ごしらえも済み、いよいよ買い付けです。村にはズニジュエリ−を扱っているお店が10件近くあり、その全てを見て回り気に入ったジュエリ−を探します。
 その中の、ある1つのお店でちょっとしたミュ−ジアムを展開しているところがあります。ズニジュエリ−の作り方や材料の説明などを紹介しているのです。その中で1番私達の目を引くのは「イミテ−ション ズニジュエリ−」のコ−ナ−です。そのショ−ケ−スの中には本物と比較するために、あえてニセズニジュエリ−も展示してあります。パット見はどちらが本物か区別ができないほどです。説明文によると、ニセズニは東南アジア等の国々で大量に生産されていること、それらのジュエリ−に使われているタ−コイズ等はプラスチックで作られていること、また、フィリピンではニセズニを大量に生産することから「ズニ村」という名の村まで作ったこと等を述べてあります。確かに日本国内でも、それらしいイミテ−ションを見かけることがあります。しかも、インディアンジュエリーとして低価格で売られています。造りも精巧で見分けがとても難しいようで、ズニの人々にとって大きな問題となっています。
 今回、買い付けの際に偶然ある場面に出くわしました。どうやらズニの村の人のようで、自分の作った作品を、お店においてくれるかどうか交渉をしている場面でした。私達は、今までにもこういう場面に出くわしているので気にも止めずに品選びをしていました。その村人が帰ったあと、私達のところに戻ってきた店主は、「今のは○○○○だよ。」と言い、その人の作品を私達に勧めてきました。どうやら先程の交渉は成立したようです。しかし、私はそのア−ティスト名を聞いて一瞬自分の耳を疑いました。なぜなら、そのア−ティストの作品は日本の雑誌などでよく目にする売れ筋の人だからです。売れ筋ア−ティストでも、こうして一軒一軒自分の作品を置いてくれるお店に自らが足を運んでいる、ということに関心しました。

 その後私の中で、この場面と先にお話しした「ズニイミテ−ション」が重なり、怒りらしいものがこみ上げてきました。ズニジュエリ−の表面的な美しさの奥には、こういうア−ティスト一人一人の苦労と職人魂が入っています。少しでも名が売れたからといって、おごりたかぶり楽をしているわけではない、ましてや一軒一軒自ら足を運び作品を置いてくれる所を探し回っている、こういうア−ティストを目の当たりにし、いかに「ズニイミテ−ション」が彼らの生活をおびやかしジャマしていることか・・・・。そして、
私達ができることは、こういう一生懸命な人たちの作品を、みなさんに紹介することだとあらためて感じました。
 ズニ族は、友好的な人々で、外部の文化なども積極的に吸収し、かつ、自分たちの伝統文化も失わない部族だといわれています。通常、「リザベ−ション」という言葉を聞くと、閉鎖的で荒涼としたイメ−ジを抱いてしまいます。しかし、このズニの村は他のプエブロ族の村と違い、なんら他のアメリカの小さな田舎町と変わらないように感じます。こじんまりとしたメインストリ−トもあり、緑もあり、にぎやかで、私達のようなよそ者が町を歩いていても別段気にもされない。じょうずに近代的な生活をとりいれつつ、自分たちの伝統的な文化をも守っている、調和のとれた村。.
 私達の目には、こんな風にうつりました。
追記:2001.9.5 更新
  読者の方から大変貴重な情報をいただきました。
     『ズニは、観光局?(A:shiwi A:wan Museumの先、右側)で
     カメラを見せて許可を取れば、常識的な場所では撮影可能です。』
  観光される際は、くれぐれもル−ルを守り、撮影をしてください。おねがいします。

追記:2001.9.8 更新
   正確なオフィスの名前は【ZUNI TRIBAL OFFICE】で、
   カフェと同じル−ト53沿いにあるそうです。