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  ホピ ジュエリ− vol.6

 今回は、インディアンジュエリーの中でも威厳高い、『ホピジュエリ−』について私なりに、見極めのポイントや思っていることを皆さんにお話ししてみようと思います。
 ホピといえば、オ−バ−レイ技法が特徴です。オ−バ−レイ以外でも有名なア−ティストはいますが、今回は、オ−バ−レイ技法に焦点を合わせ話を進めていきます。
まず、オ−バ−レイとは?
 オ−バ−レイとは、まず一枚のシルバ−の板にデザインを描き、そのデザインを糸ノコを使い切り抜きます。そして、もう一枚のシルバ−の板に切り抜いたシルバ−をかぶせ溶接します。このデザインを上にのせる行為がまさに、オ−バ−(OVER)、レイ(LAY)です。そして、切り抜いて一段低くなったところに細かくタガネで筋をつけ、さらに黒く酸化させて、磨きをかけ、完成です。
 以上の技法を使うことにより、型おしでは出せない、シャ−プでクッキリしたラインに仕上がり、それがシルバ−と黒色とのコントラストを一層きわだたせてくれます。また、タガネによりつけられる細かい筋は、色をより濃く、はっきりさせる効果があると思われます。
ジュエリ−を選ぶポイントは?
 私は、仕入れの際、以下のポイントに重点をおいて、ジュエリ−を選んでいます。
@カットの正確さ
 カットは、オ−バ−レイの命だと私は思っています。カットのライン(特に直線)が、うねっていたり、凸凹では、せっかくのデザインが台無しです。メキシコ製のニセホピなどは、このカットラインを見て、見分けることができるのでは・・・。また、ホピの人が作った作品でも、ラインの汚いものは、技術の低い証拠です。

Aデザインの細かさ

 デザインは、買う人個人によって、好き嫌いがあると思いますが、私の場合は、単純なモチ−フ一個だけのものより、細かく、複雑なデザインをえらびます。デザインが細かければ、それだけ手間がかかるし、ア−ティストの力量が分かりやすくなると思います。同一の価格なら,,ぜったい細かいデザインの方がおトク!!また、ニセホピの多くは単純な一個のモチ−フ(ココペリ、サン、ベアパウ等が多い)などを大きくデザインしたものが多いように思います。また、単純で同じデザインを複数売っているものは、あやしいと思っていいのでは・・・

Bデザインの芸術性
 デザインは、名ア−ティストの感性のあらわれです。芸術性は、モチ−フ同士の組み合わせ方やデフォルメの仕方など、技術だけではどうしようもできない部分で、そのア−ティストのセンスがそのまま出ます。カットの正確さ+αで芸術的なデザインのものを選ぶのも良いのではないでしょうか。

Cタガネの打ち方
 遠目では分かりませんが、黒い部分には、たくさんのタガネ筋が打ち込まれています。注意して見てみるとア−ティストにより様々で、太い物やタテ・ヨコのマス目状のものなど、いろいろあります。目立たないわりに、非常に細かく手間のかかる作業です。タガネを打つことにより、黒色がより濃く、微妙に黒さにもコントラストが出てきます。やはり、細かく、規則正しいタガネは作品をひきしめてくれます。ニセホピの多くは、タガネ筋がなかったり、少しだけのものが多いようです。
ニセホピ?
 以前、私の店に入ってきたお客様が同じ市内の別の店で買ったというホピ?リングを見せてくれました。『ホピ製印台の14K貼』、価格は約1万円だったそうです。しかし、それは私のみたところ、メキシコ製のニセホピでした。
 『ジュエリ−を選ぶポイント』でもふれていますが、メキシコ製+東南アジアなどのニセホピがかなり出回っております。私なりにみわけるポイントは上記で述べた他に、今回の例では、裏に14Kの刻印がありましたが、表面は確かに金色、しかしその14Kの側面はシルバ−。これはまさしく、メッキの証拠です。
 また、ホ−ルマ−クは、最も手軽にホピとそれ以外を見分ける方法です。しかし、今回のリングの裏にもホ−ルマ−ク風の刻印が押されてありました。このように、ニセモノもそれらしい刻印がある場合や、ホピ製でも刻印の打ち忘れやノ−マ−クもまれにありますので、その辺は購入の際、お店の人に聞いてみてください。
 また、上記「デザインの細かさ」でもふれましたが、ニセモノは手間のかからない、単純で、しかも『いかにも』というモチ−フが多くあります。さらに、それが複数あるようなら、疑ってみてよいでしょう。価格の面では、一概に言えませんが、数千円でリングやネックレスを売っていたり、「値引きするよ!!」というお店は怪しいと思います。かなり、細みのリングでも1万円ぐらい、小さなネックレスでも1万円ぐらいが相場です。
 私は、数年前、エスニック雑貨を扱っていたので分かりますが、エスニック系の卸ではメキシコ製でも東南アジア製でもインディアンジュエリーといって卸されています。おそらく、販売員の方もニセモノとはわかっていないと思います。それから、インディアンジュエリー専門店とうたっている店でもホピだけでなく全般的にインディアンジュエリー風量産品を売っているところが多くあります。実際アメリカではそのような商品が多く卸売りされているので「直輸入している」というお店の売り文句に惑わされず、カット等、総合的に吟味して選ばなくてはならないと思います。
ホピジュエリ−の楽しみ方
 ホピジュエリ−は、身につけて楽しむのはもちろんですが、その他にも・・・・・・・・
@手にとってデザインをじっくり見る
 デザインをじっくり、じっくり観察し、どんなモチ−フが描かれているか、また、その意味などをよく研究すると、より一層ホピジュエリ−の重みを感じることができます。

A同一モチ−フを集める
 同じモチ−フでも、ア−ティストにより表現は様々です。気に入ったモチ−フをいろんなア−ティストでそろえるとア−ティストの特徴もつかめるのでは。

Bア−ティストでそろえる

 数多くホピジュエリ−を見ていくと、なんとなくそれぞれのア−ティストの特徴がわかってきます。デザイン、カット、得意のモチ−フなど、自分のフィ−リングにピッタリのア−チストができたら、その人の作品をいろいろとそろえてみては。
  など、楽しみ方、集め方もいろいろです。
最後に、売る側より一言
 雑誌等で、超有名ア−ティストの作品をよく見かけます。さすがにカットもきれいで、様々な工夫もされています。もちろん、その分、価格も高価になります。しかし、逆に有名なア−ティストでもやっつけ仕事的な作品≠見かける場合もあります。しかも、高い価格で!!
 まず、ア−ティストが有名かどうかより、作品がきれいかどうかでジュエリ−を選んでもらいたいと思います。手頃な価格でも、すばらしいア−ティストの作品はたくさんあります。また、お店により得意なア−ティスト(密な関係)などがあり、すばらしい作品も手頃な価格で販売しているお店もあります。まずは、信用できるお店を見つけ、買われる側のみなさんも、いろいろ勉強し、ア−ティスト名だけに惑わされず、ジュエリ−を見極める目を身につけて下さい。
 高価なだけが、良いジュエリ−ではないので、自分の手の届く範囲で,すばらしい作品に巡り会い、ア−ティストの思いを感じとって下さい。