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  vol.14

 インディアンジュエリーと言って、まず思い浮かぶのはタ−コイズではないでしょうか。
 インディアンにとってタ−コイズは、父なる空を意味する石、身を守ってくれるお守りの石として、ナバホ族以外でも広く多くの部族に身につけられています。ジュエリーづくりでは、あまりタ−コイズを使わないホピ族でも、ダンスのときはタ−コイズをたくさん身につけ踊っています。
 タ−コイズと一口にいっても、濃い青色から薄い水色そして緑色と、色味だけでもいろんな色があります。さらに、マトリックスといわれる模様の色も黒、茶、白っぽいものと様々。また、掘り出される鉱山によってもいろんな違いがあり、スパイダ−ウェブでは#8・LanderBlue・LoneMt. etc.、青色の美しいBisbee・Morenci・BlueGem
 etc.など、それぞれの鉱山を代表するような特徴があるタ−コイズもあります。しかも同じ鉱山だからといってすべて同じようなタ−コイズが採れるわけではなく、同じ鉱山から青色と緑色が採れるところもあるし、青色しか採れないところもあります。また、スパイダ−ウェブで有名だからといって、すべての部分にスパイダ−ウェブがはいっているわけではないのです。そんな千差万別な表情がまた、タ−コイズの魅力の一つでもあります。
 成分についてや、各鉱山の特徴などは、いろんなサイトで詳しく書かれていますので、そちらを見て勉強していただくとして、まずは、そんな様々なタ−コイズに一度に出逢えるよい場所をご紹介します。
 ニュ−メキシコ州アルバカ−キのオ−ルドタウンの ShoppingCenterの一角にそれはあります。Zack-Low TurquoiseMuseum』です。ミュ−ジアムといっても広くて大きなものではなく、タ−コイズに携わって親子4代の方のこぢんまりとした私設ミュ−ジアムです。私もお気に入りでなんどとなくそのミュジアムをおとずれています。
 初めて訪れたとき、そこがTurquoise Museum?と疑問を感じながらおそるおそる入店したのを覚えています。なぜなら、まず最初に目にするのは華やかな風船たちだからです。その風船と一緒にたくさんのタ−コイズやジュエリ−がショ−ケ−スにならべてあり販売されています。そして、奥の方から、風船に空気をつめながら(ギフトショップのようなものも営んでいるようです)きさくにHello!と声をかけてきてくれます。どこがMuseumなんだい!!!と思い店内をキョロキョロすると、さらにミュ−ジアムへの入り口があります。

 採掘現場の入り口をデザインしたそれをくぐって中に入っていくのです。おっと、ここで油断してはいけません、じっくりとトンネルを観察してみてください。カベのところどころにタ−コイズがうめこまれています。「きっと、タ−コイズはこんなふうに地中で眠っているのだ!」と、感心しつつ足をすすめます。
 トンネルを抜けると、部屋が2つあります。まず、手前の部屋にはいります。そこは、6坪ぐらい(私の記憶がたしかなら)の部屋で、カベにそってずらりとショ−ケ−スがならんでいます。その中にはタ−コイズの原石やタ−コイズをつかったインディアンジュエリーがはいっています。そして、その種類の多さに、きっとびっくりすることでしょう。ざっと数えてみると60前後の鉱山から採られたタ−コイズが展示されています。アメリカだけでなくペルシャなど他の国のタ−コイズもあります、そして、すべて、ナチュラルタ−コイズということです。みたことのあるタ−コイズ、きいたことしかないタ−コイズ、そしてはじめて耳にするようなタ−コイズまで。鉱山ごとのタ−コイズには、石の特徴や採掘場所などの説明がされてあり、タ−コイズ好きには、まさに天国!何時間いてもあきないぐらい。
 続いて、もう1つの部屋にはいります。そこは、ガラス越しにタ−コイズの加工工程が見られるようになっています。原石からどんな順序で、インディアンジュエリーにタ−コイズが変わっていくか、一目瞭然。加工の順を追ってサンプルがならんでいるのです。運が良ければ実際の加工がみれるかもしれません。また、クイズ形式で偽タ−コイズをさがしたり、「タ−コイズの色は?」などの問題が出題されていて、楽しみながらタ−コイズの勉強ができるようになっています。きっと一生懸命にクイズをやっていると、めがねをかけた息子さん(お父さんもめがねをかけているけど)が、「何か質問はない?」と気軽に声をかけてくれることでしょう。ここで遠慮せずに、普段疑問に思っていることなどを、聞いてみましょう。彼なら、丁寧にわかりやすく説明してくれることでしょう。
 ちなみに、日曜日とか授業のようなものもやっているみたいなので、事前に時間を聞いて聴講するのもいいと思います。
 インディアンジュエリーとしてタ−コイズの表情を楽しむには、まずは、ナバホ族のジュエリーがおすすめではないでしょうか。タ−コイズを大胆につかい、タ−コイズにあわせベゼルをつくる。さらに、ア−ティスト独特のスタンプワ−クやベゼルのカットが、よりタ−コイズを際だたせてくれる。大きな石を使ったシンプルなものもよいのですが、やはり、インディアンジュエリーとしてはア−ティストの技術が加わり、シルバ−ワ−クとタ−コイズの両方が1つになってナバホジュエリーといえるのではないでしょうか。また、ホピ族のジュエリーでも一流どころのア−ティストは、石を使う場合が少なくありません。大きくタ−コイズを使うことは、あまりありませんが、小粒のタ−コイズとオ−バ−レイの明暗は、絶妙なコンビネ−ションです。
 ア−ティストによっては、アメリカ産のタ−コイズにこだわる人もいます。中国産などが悪いわけではないのですが(事実、チャイニ−ズタ−コイズには、アメリカ産以上にきれいなものも多く、グレ−ドの高い高価なものが現在でも多く採れているそうです)、そんなこだわりも、先住民としてのほこりなのでしょう。
 たまに、お客様からこんな質問をうけます、「良いタ−コイズて、どんなのですか?」または、「良いタ−コイズを使った物は、どれですか?」。
 良いタ−コイズとは、なんでしょう。有名鉱山のもの?値段の高いもの?スタビライズでなくナチュラルのもの?人それぞれ基準はちがうとおもいますが、やはり、自分が「きれいだな!」と思えるもの、それが自分にとっての良いタ−コイズではないかと思います。色やマトリックスの入り具合でタ−コイズが千差万別なように、人の好みも千差万別。「将来、高い値段で売ってやろう。」と思っている人でなければ、にせもの以外で自分にうったえかけてくるものを選ぶのがいいとおもいます。
 また、私達の店では、鉱山のはっきりしているタ−コイズはお客様に伝えるようにしています。タ−コイズを見ただけで、鉱山を特定する事は、できないといわれます。ですから、タ−コイズの名前は、石を売っている人→インディアンジュエリーア−ティスト→ショップ→お客様 と、確実に伝えていかなければ不可能なことです。
 鉱山名を伝えることは、「このタ−コイズはどこどこ鉱山で採れた物で、そこは、もう産出量がすくなく、貴重なタ−コイズなんですよ。」ということではけっしてありません。
 ただ、「今自分が身につけているタ−コイズがどこで採られたものなのか、そして、そのことがずっと大切に自分まで伝えられてきた。」それがわかるだけでも、すばらしいことだとおもうからです。
 同じ表情のタ−コイズは、2つとありません。タ−コイズとの出会いはまさに運命的なのです。みなさんも「これだ!」と思えるタ−コイズにであったら、そのチャンスをのがさないでください。